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9.会社分割とは?

<2>所得金額の計算について

 会社分割制度が商法上創設される以前は、企業はその事業を分割するために「現物出資」といった手法を用いていました。会社がその有する資産を現物出資して他の会社(子会社)を設立し、子会社の株式を取得するケースですが、この場合出資した親会社においては、現物出資した資産について時価により譲渡したものとされます。例えば親会社が帳簿価額200万円、時価1000万円の資産を現物出資した場合には、1000万円の子会社株式を取得することになりますので、800万円の資産の譲渡益が生じます。当然そこに法人税が課せられるのが原則ですが、しかしこの子会社設立が単に一事業部門の分割承継である場合、親会社は自らが所有していた資産(例えば固定資産)が子会社株式に姿を変えただけであって何ら利益を得てはいないわけです。このように企業がその組織を再編するためにする現物出資については、ある一定要件のもと、その譲渡益がなかったものとする特例があったわけです。(「特定現物出資による圧縮記帳特例制度」)
 商法に会社分割の規定が盛り込まれたことにより、同様の問題が生じます。即ち、経済実態に実質的に変更のない資産の移転についてまで譲渡益課税が行われるのか、という問題です。この点から税法では一定の要件のもと原則、時価による譲渡とされる資産の移転を例外的に簿価による譲渡(引継)と扱うものとしたわけです。この一定用件を満たした会社分割を「適格分割」と呼びます。
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