8.確定拠出年金(日本版401k)とは?
<1>概要
(1)いままでの年金制度との違い
いままでの年金制度は、一定期間掛金を納付することにより一定額の年金が給付される確定給付型しかありませんでした。これに対し確定拠出型は企業や個人が拠出する掛金は予め決められますが、拠出された掛金は加入者が自己責任で運用し、その運用により給付額が決定される年金です。つまり将来受け取る年金額は保証されておらず、運用により年金額は変動することになります。
(2)確定拠出年金のメリット
企業にとっては、いままでの年金では予定していた運用利回りが確保できない場合には、その不足分を追加負担する必要がありました。確定拠出年金では企業の追加負担が生じません。
個人にとっては、転職をしても転職先の制度に自己の資産を持ち運ぶことができます。
いままでの制度に比べて、中小零細企業の従業員、労働移動が激しい業種の企業の従業員、将来転職を予定している従業員などに適した年金制度と言えます。
(3)年金としての性格
あくまでも貯蓄ではなく年金であるとの位置づけにより次のような規制があります。
1.老後に達する前の中途引き出しは原則として認めない。
2.一定期間以上の加入期間がないと受給できない。60歳で受給するためには最低でも10年以上制度に加入する必要がある。
3.毎月一定額を拠出する仕組みとし、掛金の年度途中での変更、前納や追納は認めない。
(4)企業型と個人型
確定拠出年金においては、企業が従業員のために制度を実施する企業型年金と、自営業者等や企業の支援が受けられない従業員が任意で加入する個人型年金の2制度があります。それぞれの対象者は次のとおりです。
(イ)企業型年金
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企業型年金を実施する企業に使用される60歳未満の企業の従業員 |
(ロ)個人型年金
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自営業者等 |
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厚生年金基金、適格退職年金、確定拠出年金の企業型年金等の対象となっていない60歳未満の企業の従業員 |
確定拠出年金ではいわゆる専業主婦や公務員などは確定拠出年金に加入できないことになっています。
(5)実施手続き
企業は労使合意により、いつでも任意に企業型年金を実施することができます。実施企業の従業員全員の加入が原則ですが、労使合意により一定の資格に該当する従業員のみの加入者とすることも可能です。この一定の資格では、一定の職種、一定の勤続期間、加入希望者などを定めることができるため、例えば、ある年度の新入社員から加入させ、現在の社員は確定給付型のままとすることなどもできます。
個人型年金は国民年金基金連合会が実施主体となって実施する制度です。個人型年金の対象となる自営業者等及び企業の従業員は、国民年金基金連合会に申請することにより任意に加入できます。
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