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7.減価償却とは?

(1)減価償却とは?
 建物、機械などの固定資産は長期にわたり利用するものです。長期の利用によってその資産の価値は少しずつ下がってゆき、最後には処分するときの価値になります。したがってその固定資産の取得にかかった金額は取得した時の費用ではなく、その利用期間に応じて毎年の費用にすべきでしょう。これを減価償却と呼びます。
 それでは、どのように毎年の費用を計算したらよいのでしょうか?

(2)対象の資産は?
 減価償却の対象となる資産は次に掲げるものです。
(イ)建物  (ロ)構築物 (ハ)機械及び装置 (ニ)車両及び運搬具 (ホ)工具 (ヘ)器具及び備品 (ト)鉱業権、営業権、特許権などの無形固定資産 (チ)牛馬、リンゴ樹などの生物
 これらの中でも、事業に使っていないものや、時の経過により価値が減少しない美術品などは減価償却の対象となりません。

(3)計算の方法
 減価償却の計算に必要な三つの要素は取得原価、償却方法、耐用年数です。
 法人税法等ではこれらの手続を法定化し、決められた計算により費用化できる限度額を定めております。この限度内の金額で会社が費用計上すれば、その期の損金として所得から差し引けます。

 すなわち、減価償却とは取得に要した金額である取得原価を、利用可能期間である耐用年数にわたって、一定の償却方法によって費用化していく手続きといえましょう。

(4)取得原価はどう計算するの?
 取得原価はその資産の取得にかかった購入代価だけでなく、資産を事業で使えるようにするまでの費用も含めます。
 さて、法人としては、減価償却の手続により、長期にわたって費用化するよりも、支払時に即時費用とした方が利益が少なくなるので、支払った金額のうち取得原価に含めないものがあれば費用とした方が節税になります。どんなものが取得原価に含めずに費用にできるのでしょう。

(イ)割賦販売の利息相当額
 分割で資産を購入した場合、契約書に購入代価と割賦利息及び割賦手数料が分けてあればこの利息と手数料は取得原価に含めないことができます。ただし、利息や手数料はローンの支払期間にあわせて費用化されるので、耐用年数よりローン返済期間が長いときは取得原価に含めた方が早めに費用化できますのでご注意下さい。

(ロ)資産取得のために借入れた借入金の利子
 取得原価に算入しないことができます。

(ハ)取得に係る租税公課
 不動産取得税又は自動車取得税、特別土地保有税、事業所税などは取得原価に含めないことができます。<
 なお、逆に利益を多くするため取得原価に含めないことができる費用を取得原価に含めることも考えられますが、償却資産税がその分多くかかります。

(5)償却方法とはどんなものが?
 定額法、定率法とはどんな方法なのでしょうか。

・定額法
 資産は、使用可能期間が過ぎても、全く価値が無くなるわけでないので、取得原価の10%を残存価額として償却せずに残します。それ以外の部分を毎期均等額ずつ償却する方法を定額法といいます。例をあげれば100万円の資産が、耐用年数(=利用可能期間のこと)10年であった場合、残存価額以外の90万円を10年で割った9万円を毎期償却していく方法です。

・定率法
 定率法とは取得原価から既に償却された部分を差し引いた金額に毎期一定率をかけ償却費を計算する方法です。前の例でいえば、一年目は100万円に0.206(耐用年数10年の定率法償却率)を掛けて計算した20万6000円が償却額となり、二年目には100万円から前年の償却額20万6000円を差し引いた金額に0.206を掛けた16万3564円を償却額とする方法です。定率法は毎期償却額が逓減してゆき、十年目には定額法と同じ残存価額が残ります。従って、初期に多額の償却費を出すには定率法が良いのです。
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