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4.事業承継の上手な進め方は?

<2>経営権維持のための持株比率

 株式会社においては、会社を運営していくために、会社の意志決定機関として株主総会と取締役会が設置されています。
 通常のオーナー会社では、株主と社長(経営者)が一致しているので、株主総会と取締役会での意志決定はオーナーの自由裁量に委ねられているといえます。
 これは、オーナーの持株比率が一定割合を超えた時に初めて可能となります。すなわち、株式会社を一人の意志で完全にコントロールするためには、結論から先に申しますと、持株比率が2/3以上である必要があります。
 この理由は、株主総会において、最も重要な決議事項である定款変更や役員の解任等の決議(特別決議といいます)は、総株主の過半数の出席とその2/3以上の賛成が必要だからです。
 また、役員の選任等の普通決議は総株主の過半数の出席とその過半数の賛成が必要です。
このため、後継者の持株比率が2/3未満の場合は、株主総会や取締役会を完全にコントロールすることができなくなります。ですから、欲を言えば、後継者の持株比率は2/3以上、また、最低でも、過半数を確保しておく必要があります。
 めぼしい相続財産がオーナー社長の自社株しかないため、これを兄弟3人で平等に遺産分割した、というような話をお伺いすることがあります。
 一見、兄弟平等で非常に望ましいことのように思われますが、株式は財産としての側面ばかりではなく、会社の支配権という側面も持っています。
「毛利家の三本の矢」のように兄弟が一致団結して会社経営を行うことができれば、理想的なのですが、現実にはそうならない場合の方が多いようです。
 最近、新聞でよく見る株主代表訴訟は、統計によれば、約70%が中小企業において発生しており、しかも、その殆どが同族関係者内でのトラブルが原因だそうです。
 後継者が事業承継した後も安心して会社経営が行うことができるように、持株比率を2/3以上にすることが望まれるところです。
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