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2.節税の具体例は?

<2>贈与税の配偶者控除の利用

 「もしもの場合、残された家族のために何か良い相続対策はないでしょうか」こういった要望をもった社長さんは多いことでしょう。そこで、長年連れ添った奥様に対しては、贈与税の配偶者控除を検討してみてはいかがでしょうか。
 この特例は、居住用の土地・借地権・建物の贈与、または居住用不動産購入のための資金の贈与に対しては結婚後20年以上の夫婦間であれば、2,000万円の配偶者控除が認められるというものです。
 なお、この贈与を行う場合には、やむを得ない場合を除き、金銭贈与は避けるべきです。なぜなら土地等の税法上の評価額は、通常、時価の約80%でしか評価されません。したがって物件贈与が金銭贈与より通常有利になります。
 また、物件の所有権は分筆登記にする必要はありません。分筆の手間を考えると夫婦共有名義となる持分贈与がよいでしょう。
 さらに将来の居住用財産の譲渡を考えると、土地だけの贈与ではなく建物も合わせて贈与した方が有利です。なぜなら、居住用財産を譲渡した場合には売却益から3,000万円を差し引けるという制度がありますが、この制度の適用は、原則的には、家屋を対象としており、土地については家屋とともに譲渡した場合にその対象とされるためです。また土地と建物の持分贈与をすることにより夫婦各々が3,000万円の控除制度の適用を受けることができます。
 このように、相続対策にもなり、かつ奥様にも喜ばれ、さらに場合によっては譲渡時の節税にもなりますので、ご検討してみてください。
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