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11.中小企業の退職金制度は?

<2>退職金支払いのための賃金

退職金支払いによる企業損益や資金繰りの著しい悪化を防ぐための制度をいくつかご紹介します。

  1. 中小企業退職金共済制度

    事業主が掛け金を納付することにより従業員に退職金が直接支払われる制度で、加入対象は中小企業(人数、資本金に制限あり)に限られます。また、対象者は、従業員(兼務役員を含む)のみとなります。新規加入等を対象とした助成金や社宅等施設建設のための融資制度も整っています。税務上は、法人の場合損金、個人の場合必要経費となり消費税も非課税となります。また、支給については

    一時払いの場合 死亡の場合で3年以内に確定したものは相続税の課税対象となり、それ以外は退職所得として課税されます
    分割の場合 公的年金等控除の対象となる雑所得として課税対象になります。解約手当金は、一時所得の対象となります。


  2. 小規模企業共済制度

    一定の掛け金を支払うことにより事業を廃止又は退職した場合等に共済金の支払いがある制度で加入対象は小規模企業(業種により人数制限あり)の事業主、役員となります。傷病災害貸付などの融資制度も充実しています。税務上は、掛け金は所得控除の対象となり、共済金は、

    一時払いの場合 死亡の場合で3年以内に確定したものは相続税の課税対象となり、それ以外は退職所得として課税されます。
    分割の場合 公的年金等控除の対象となる雑所得として課税対象になります。解約手当金は65歳以上の場合は退職所得、その他は一時所得となります。


  3. 適格退職年金制度

    事業主と使用人との間で締結された規定に基づき保険会社等に掛け金を払い込み運用、管理させ退職時に給付を受ける制度で、加入者が15人以上必要となります。事業主や役員は対象となりません。この制度の契約前の従業員に対する過去勤務分の掛け金も支払うことになりますので事業主の負担は大きくなります。税務上は、払い込みをした時点で損金となります。

  4. 前払制度

    退職金制度を廃止し、給与等で退職金積立相当額を前払いする方法。優秀な人材を確保すると言う観点においてメリットがあります。

  5. 確定拠出年金
    今までは、支給される年金額が決まっていましたがこの制度では掛け金が決まっているだけで支給される金額は自己責任による運用結果次第で変化します。税制の利扱いは、

    拠出時 加入者の拠出は、所得控除の対象となり企業の拠出は損金算入されます。
    運用時 年金資産に対して特別法人税課税(15年3月まで凍結)
    給付時 一時金は、死亡の場合は相続税の課税対象となりそれ以外は公的年金等控除対象の雑所得として課税されます。


このように退職金には法務、税務またこの他にも退職給付会計等検討事項が多数ありますので貴社に適した規定等の見直しをお薦めします。また、実際の事務処理については、弊所担当者までお願いします。


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