11.中小企業の退職金制度は?
<1>退職金規定の作成
労働基準法では、労働者を10人以上雇用する場合には就業規則の作成と労働基準監督署への提出を義務付けていますが中小企業では未作成や実態とかけ離れているものも多いので、作成時点でのポイントを列挙して見ます。
- 労働者の範囲
まず、誰に退職金を支給するのかを明確にすることです。企業には一般労働者の他にパートタイマー等複数の雇用形態が存在します。支払金額に格差をつけるのであれば文章で明確にする必要が生じます。この場合において性別等で差別することは認められません。
- 支給額の計算
一般的には、企業の財政状態、同業他社の支払い状況等を参考にして次のように算定されます。
退職金=算定基礎額*一定の支給率+特別加算、減算額
A |
算定基礎額 |
算定基礎額計算には、イ 基本給をそのまま用いる。ロ 別テーブル方式 賃金とは別体系にして退職金のための算定基礎額表を作成する。ハ ポイント方式 年齢、資格、人事考課点などにポイントを定め一定の単価を乗じて計算する。この場合は支払い水準の上昇を抑え、業績や能力が強く反映される。等の方法があります。
実際には、退職時の基本給又は、退職時の基本給*一定率を採用する企業が多いようです。 |
B |
支給率 |
支給率には、イ 勤続年数 ロ 退職事由によるものがあり、イには直線的に増加する一律増加方式や会社の貢献度に応じ上昇率が変化する段階別変化方式などがあげられ、ロには会社都合による退職、懲戒解雇などが考えられそれぞれ支給率を設定します。 |
C |
特別加算、減算額 |
支給等では調整できない事由を補完するためのもので功労加算や懲戒解雇などがあります。特に減算する場合においては具体的な不支給事由、減算事由を明記しておくほうが賢明だと思われます。 |
- 支払い方法等
支払いにつき一時金方式、年金方式又は、併用方式のいずれを採用するのか。また、時期についても就業規則中に明記する必要があります。
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