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9.休日、年休についてのポイントは?


(1)代休と振替休日との違いは?

代休というのが一般には多く使われていますが、代休と休日の振替の違いを理解して下さい。休日の振替とは就業規則等の定めにより前もって振替る日を特定し、休日を他の労働日と入替えることであり従来の休日は労働日となり、振替えられた労働日は休日となるのです。その結果、4週4日の休日が確保され、かつ週の法定労働時間内であれば従来の休日に労働させても休日労働とはならず割増賃金は発生しないことになります。一方代休は事前の休日の変更手続をふむことなく休日労働が行なわれ、その後その代償として代わりの休日を任意の日に与えるものですが、振替手続がされていないため従来の休日に労働させたことは休日労働のままであり、後日代わりの休日を与えてもさきの休日労働は帳消しにはならず割増賃金が必要となってしまうのです。ルールにのっとり休日振替の手続をふんだ方がコストもトラブルも少なくてすむということになります。

(2)年休の付与日数等は?

 労基法の法改正があるたびに改定されたのが年休の付与日数等でした。各会社の就業規則を拝見させていただくと、法改正前の年休の定義がそのままという会社が多く見受けられます。会社の就業規則の変更が法改正に追いついていないのが現実です。貴社はいかがですか。年休とは労働者が6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月の全労働日の8割以上を出勤した場合は10労働日の年休を与えなくてはなりません。その後は継続勤務年数1年ごとにその日数に1労働日、3年6ヶ月以後は2労働日を加算し、年休総日数が20日に達するまで与えなければなりません。その有効期間は2年間です。年休は労働者の権利ですから労働者が指定した時季に与えるのが原則です。また、パートタイム労働者にも年休は付与しなくてはなりません。パートだから年休など無いものだと思っていてはいけません。

(3)退職予定者に未消化の年休を与えなくてはならないのか?

 退職が予定されていても在籍中であるならば退職する時までは労働者としての諸権利を有すると考えられますので、年休取得も自由に行使することが可能と思われます。退職日まで年休を請求し事務引継ぎ等に差しつかえがでる場合は、権利の濫用ではないかとも思われますが違法とまではいえないと解されています。結局、問題はあるが請求どおりに認めるか、あるいは退職時に残日数を買上げるか、若しくは本人とよく話し会って任意に撤回してもらうしか対処方法はないと思われます。

(4)年休を買上げても良いか?

 年休の付与日数は労基法に定められているものでこれは労働者の権利ですので現実に付与されなければなりません。法定日数の年休はこれを買上げることは労働者の年休取得を妨げる要因となるので認められていません。しかし、2年間の時効により消滅する年休を2年経過後に買上げたり、前問の退職者の年休を退職時に買上げることは問題がないとされています。また会社が労基法を上まわって付与している年休の上まわっている部分を買上げることも何等差しつかえはないと思います。


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