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2.株式公開準備の注意点は?

株式公開準備は自社のみならず、証券会社・監査法人等の外部と連携をとりながら準備が進められ、準備期間が長くなればなるほど膨大な費用がかさんでくるため、最短距離で目標達成するために、周到なスケジューリングが必要です。株式公開は、経済情勢、特に証券市場の動向に左右される傾向があり、最近ではこの傾向が顕著に表れています。
ネットバブル全盛期には証券会社の審査のハードルはかなり低く、設立3年以内の新興企業が相次いで公開を果たしたのは記憶に新しいところです。しかし、その後、公開前の株主の中に反社会的勢力のフロント会社があったり、役員が刑事事件を引き起こしたりと、相次いで不祥事が発生し、証券会社の審査体制が社会問題化しました。さらに最近では、ネットバブル崩壊により証券市場が冷え込み、新興企業の新規公開のペースが極端に鈍っています。それでは、新興企業が短期間で株式公開を行うためにはどのくらいの準備期間が必要なのでしょうか? 勿論、公開準備期間は企業の個別事情に左右されるものですが、現在の大手証券会社のスタンスでは、2年弱程みておく必要があるでしょう。マザーズやナスダック・ジャパンが発足したときのスピード審査(3ヶ月位)に比べますと相当長期化していることがわかります。新興市場発足時の審査が甘すぎ、現在では、審査の基本発想も「通すための審査」から「落とすための審査」へと移行しています。証券会社の引受審査部では事前審査として中間審査資料の提出を要求してきます。これは、来る本試験(最終審査)に向けての模擬テストのようなものです。実は、この中間審査資料の作成が非常に重たい作業で、中間審査資料としては、下記の(1)〜(10)が挙げられます。

(1)商法計算書類・附属明細書
(2)税務申告書
(3)定款・登記簿謄本・役員経歴
(4)上場申請のためのの部様式で

 ・販売先一覧表
 ・仕入先一覧表
 ・関係会社一覧表
 ・事業計画書

(5)有価証券届書の原稿
(6)財務諸表の組替表・連結精算表
(7)重要な内部管理資料
(8)人的及び資本的関係会社決算書
(9)監査契約書・監査報告書
(10)経営上の重要な契約書

大手証券会社は非常に沢山の新興企業の囲い込みを行い、その中でも業績見込みが良く、かつ、審査に手間暇がかからない企業から順番にデビューさせていきます。ここでご留意頂きたいのは、証券会社からは前述の中間審査資料の提出要求が公開予定月の17ヶ月前位に出る点で、公開予定日の5ヵ月前位に証券会社へ提出する最終審査資料一発で審査合格するのは至難の業であるという点です。いかに証券会社の要求する資料をタイムリーに提出し、質問事項(中間審査時で300問程度)に的確に答えられるかが肝要です。さらに、当初提出した事業計画通りの実績が出せているかもポイントとなり、これがさらにハードルを高める要因となっています。大手証券会社においては、こちらが思っている程には証券会社の方が本気になっていないケースも散見いたします。証券会社からは具体的な公開スケジュールの提示があり、その線表上での準備が行われているでしょうか?
スケジュールの提示がない場合は早急に証券会社に提示の要望を出すことをお勧め致します。


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