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1.マザーズ、ナスダックジャパン等の証券新市場とは?

<2>従来の店頭市場との違い

まず、今までの店頭市場からご説明しますと、最近でこそベンチャー企業の短期店頭公開も見受けられるようになりましたが、そもそも店頭市場は「ほぼ完成された企業」を証券市場に送り出すことに主眼が置かれていました。「ほぼ完成された会社」ですから、当然、売上も安定的で、ちょっとのことではびくともしないような会社です。
 逆にいうならば、このような会社でしか、公開基準をクリアーできない審査基準が存在しているわけです。
 店頭市場の中心的公開基準であります「1号基準」は店頭公開形式基準として、「公開直前期末純資産2億円以上、直前期の当期利益が黒字」という基準があり、これは新興企業にとって非常に高いハードルでした。
 特に、インターネットを中心とした、eビジネスは事業展開が非常に速く、公開基準を満たすまでじっくりと取り組んでいたのでは、簡単に後発組に追い越されてしまいます。
 そこでマザーズやナスダックジャパンの公開基準においては、従来の公開基準からは考えられないようなハードルの引き下げが行なわれています。
 具体的には、ナスダックジャパン(ベンチャー向(案))においては、「公開時の公募増資も含めて純資産4億円以上、又は時価総額50億円以上、又は税前利益7,500万円以上」、マザーズにおいては、財務数値基準としては、利益基準・純資産基準すらありません。
 実際、平成11年11月にマザーズに上場申請した リキッド・オーディオ・ジャパンという会社は、上場申請直前期の売上高が5,200万円、当期損失が3億円でした。
 では、業績好調な会社ならばどこでも、ナスダックジャパンやマザーズに株式公開できるのでしょうか。それはノーを言わざるを得ないでしょう。
 公開基準が緩くなったとはいえ、その分、会社の将来性の評価基準が厳しくなっているようです。産業としての将来性、ビジネス自体の新規性や競争優位性がない会社にとってはかえってハードルが高くなったという見方さえあります。

 さらに新市場においては、投資家の自己責任を貫徹するために、四半期毎のディスクロージャー(企業の情報開示)が要求されています。
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