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8.銀行から融資を受けるポイントは?

<2>要注意先にならない方法

銀行は、融資先が要注意先、特に要管理先になることを望んではいません。なぜなら、要注意先になると貸倒引当金を通常よりかなり多く積む必要があり、要管理先以下になるとその貸出債権を売却してしまったり、法的整理に持ち込んで債権カットをせざるを得ない場合があるからです。すなわち、要管理先になるとこのようなことがいつ行われてもおかしくないと言うことです。すなわち、要注意先にならないようにする努力を銀行も応援してくれると言うことです。
では、どのようにしたら要注意先や要管理先のレベルから脱却できるでしょうか。

(1) 増資をする
  債務超過の状態を最も簡単に脱する方法は増資です。社長や家族からの借入金がある場合にはその借入金を資本金に振り替えることができます。なお、その場合に資本金が増えることで税制上若干不利になることがありますが、背に腹は代えられない状況ならやむを得ないでしょう。
(2) 含み益を出す
  含み益がある資産があればそれを売却する方法がありますが、事業に使用していればそういうわけにはいかないでしょう。また、過去の損失と通算できるなら通常は問題ないでしょうが、売却益に税金がかかる場合にはかえって損してしまいます。
そのようなときは会社分割という組織再編法制を使うことで法人税がかからず会計上だけで含み益を計上する方法があります。
(3) 決算書の見栄えを良くする
  繰越欠損金がある場合、資本の部に任意積立金や利益準備金、資本準備金があればこれを取り崩すことにより損失処理計算書が利益処分計算書に変わることも可能です。中身が同じでも、繰越損失があるのと繰越利益があるのとでは銀行の見方がかなり変わってきます。銀行は大量の会社を処理するわけですから、形式的なことがかなり影響することも事実です。
(4) 本業で利益を出す
  即効性は通常ないでしょうが、最も重要なのは売上増大、リストラなどで利益の出る体質にすることです。(1)ないし(3)の対策をいくらしても本業で利益が出なければその会社はもはや社会的に存在意義がなくなったと言わざるを得ないでしょう。どの部門に利益が出ているかを正確に把握し、不採算部門を思い切って切り捨てるなり、経費を一から見直して削ることです。もちろん役員の報酬も可能な限り削らなければなりません。


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