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2.経営計画の作り方は?

<2>中期経営計画の作成

 長期経営計画を作成したら、次にはより具体的な経営計画である中期経営計画を作ることになります。
 それは、一般的に3〜5年計画として作成されますが、ここでは5年計画を作成するとして、具体的な作成方法をご説明しましょう。

(1) 5年後のゴールをイメージします
 長期経営計画で作成した5年後の売り上げ、利益目標を中期経営計画のゴールとします。中期経営計画のゴールは長期経営計画のゴールと違って具体的にイメージできる必要があります。それでは、5年後のゴールを正確にイメージしてみてください。やりがいのあるゴールでしょうか。また、達成したときのイメージを頭の中に描けるでしょうか。これがとっても大切です。
 達成した時のイメージを具体的に描ければ描けるほどそのゴールが達成できる可能性は高くなります。

(2) そのゴールに必要な設備を決めます
 長期経営計画で作成した設備予想よりももっと具体的に決めていきます。たとえば、どのような機械をいつ何台、店舗をどのような場所にいつ何店舗出店、そしてそのために必要な設備投資額を年度ごとに見積もります。

(3) そのゴール達成のためにどのような人材が必要かをイメージします
 言うまでもなく会社発展の基本は人材です。そのゴール達成のためにはどの部所にどのような人材が必要かをイメージします。5年後の会社のイメージが具体的であればその人材のイメージも具体的に浮かんでくるはずです。
 現在のA社員のここをこのように成長させればこういう部門のこういう役につけるだろう。B社員はこう、C社員はどこ、というようにイメージしていくうちに、人材の育成方法が明確になっていくでしょう。また、不足する人材についての新規採用計画にも具体的な目標が設定できていきます。

(4) 5年間の損益計算書を作ります
 まず、1期目より5期目までの損益計算書を1期目から順番に作ります。長期経営計画で作成した損益計算書を基本にしますが、必ずしもそれにとらわれなくてもよいでしょう。
 各期で決めることは、売上高、変動費率、その他の固定費です。これらを扱い商品のグループごとに決めていきます。売上高は、設備投資計画、店舗展開などと見比べながら決めることとなります。変動費は売上とほぼ完全に比例して増えていく費用をいい、仕入れや、材料費、外注費、発送運賃などがこれにあたり、変動比率とは変動費の売上に対する比率を言います。
 固定費は、売上と比例して増加しないものの、設備投資をすれば減価償却費やその機械を収容する建物の家賃などが増加し、社員が増えれば人権費やそれに付随した諸経費が増えるなど、売上を増やそうとすれば固定費といえども増えるのが通常でしょう。できるだけ正確に固定費の増加額を予想してみてください。

(5) 5年間の貸借対照表を作ります
 損益計算書と合わせて貸借対照表を1期から順番に作ります。作り方は長期経営計画の時とほぼ同じになりますが、設備投資などの計画は正確に盛り込むことになります。
 そして、設備投資や運転資金の増加額の資金調達方法も計画しなければなりません。
 運転資金とは、売掛債権(受取手形+売掛金)と在庫の合計額から買掛債務(支払手形+買掛金)を差し引いたものです。つまり売上が増加すると通常は売掛債権や在庫の増加額が買掛債務の増加額より多くなりますので、運転資金は増加します。設備投資額だけではなく、この運転資金の増加額の資金も調達しなければならないわけです。
 資金調達方法には、税引後の純利益を充てる方法、減価償却費相当額を充てる方法、借入金による方法等があります。税引後の純利益や減価償却費相当額で足りれば理想的でしょうが、一般的には借入金に頼らなければならないでしょう。借入金は支払利息を増加させ利益を減少させますので損益計算書を修正していきます。

(6) 社員に発表する
 社員にも夢を持たせる必要があります。できあがった経営計画は是非社員に発表してください。できれば、この経営計画作成に多くの幹部社員を参加させるとよいでしょう。
 たとえば、商品グループごと、あるいは営業所ごとに担当の幹部社員に計画を作成させるのです。その過程でいいアイデアがでればしめたものです。人は他人の作った計画の実行には力が入りませんが、自分の作った計画なら本気で取り組むものです。
 経営計画を実際に実行していくのは社員全員です。経営計画は実現して初めて活きるものです。是非多くの社員が参加した経営計画を作成し、その実現に向かって大きな力を発揮してほしいものです。
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